【助産師が解説】妊娠線はなぜできる?予防のために知っておきたいこと

Pregnancy Care | 桜わね助産院
妊娠中、お腹が大きくなるにつれて気になり始めることのひとつが「妊娠線」です。
「クリームを塗れば絶対に防げるの?」
「できてしまったら、もう消えないの?」
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
今回は、妊娠線ができる仕組みと、妊娠中にできるケアについて、助産師の視点から分かりやすくお伝えします。
妊娠線とは?
妊娠線は、英語では Stretch marks と呼ばれる皮膚の変化です。
妊娠中にみられることが多く、妊婦さんの約50〜90%に生じるといわれています。
妊娠が進むと、赤ちゃんの成長とともに子宮が大きくなり、お腹の皮膚も短期間で急速に引き伸ばされます。
この急激な伸展に皮膚が対応しきれなくなると、皮膚の内部にあるコラーゲンやエラスチンなどの線維が断裂し、妊娠線として現れます。
お腹だけでなく、乳房や太もも、お尻などにみられることもあります。
妊娠線を完全に防ぐことはできる?
妊娠線は、体質や皮膚の性質、妊娠による体重増加の程度など、さまざまな要因が関係します。
そのため、どれだけケアをしても「必ず防げる」とはいえません。
一方で、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の柔軟性を保つことや、急激な体重増加を避けることなどは、日常生活の中で意識できるポイントです。
妊娠線の予防では、皮膚へのダメージを少しでも軽減すること、そして皮膚の修復を支える生活習慣を整えることが大切とされています。
妊娠中に心がけたい3つのこと
1.保湿と水分摂取
皮膚が乾燥すると、柔軟性が低下しやすくなります。
妊娠中は、無理のない範囲で適切な水分摂取を心がけ、入浴後などには保湿剤を使用して、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
保湿は「妊娠線を完全に予防する」というよりも、皮膚の状態を整え、柔らかく保つためのケアとして取り入れるのがおすすめです。
2.バランスのよい食事
皮膚の健康を保つためには、特定の栄養素だけではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
たとえば、
亜鉛を含むナッツ類や魚
ビタミンAを含む緑黄色野菜
ビタミンCを含む果物
ビタミンDを含む魚や乳製品など
たんぱく質を含む豆類、赤身肉、鶏肉、魚、卵
などを、日々の食事にバランスよく取り入れていきましょう。
妊娠中は一つの食品や栄養素に偏るのではなく、主食・主菜・副菜を意識して食べることが基本です。
3.軽い運動
妊娠線予防のために、激しい運動をする必要はありません。
妊娠経過に問題がなければ、散歩などの軽い運動で血流を促すことは、妊娠中の体調管理にも役立ちます。
ただし、運動量については妊娠週数や妊娠経過、持病などによって異なります。医師や助産師から運動制限を受けている場合は、その指示に従ってください。
妊娠線のリスクに関係するとされるもの
妊娠線は、皮膚の伸びだけでなく、体質や生活習慣など複数の要因が関係するとされています。
文献では、肥満や一部の栄養状態、ホルモンなどとの関連についても報告されています。
そのため、妊娠してから急に対策を始めるというよりも、妊娠前から生活習慣を整えておくことも大切です。
なお、妊娠中のアルコール摂取は妊娠線の有無にかかわらず推奨されません。
妊娠線予防クリームやオイルは効果がある?
妊娠線を予防するための局所療法については、これまでにさまざまな研究が行われています。
報告されているものには、
センテラを含むクリーム
ヒアルロン酸を含むクリーム
レチノールを含むクリーム
アーモンドオイル
ココアバター
オリーブオイル
などがあります。
このうち、センテラを含むクリームやアーモンドオイルについては、妊娠線の発生率や重症度を低下させたとする報告があります。
また、アーモンドオイルを使用しながらマッサージを行った群で、妊娠線の発生や重症度が低かったとする研究もあります。
ただし、研究結果はすべて一致しているわけではなく、どのクリームやオイルでも確実に予防できるというわけではありません。
「高価な妊娠線専用クリームを使わなければならない」ということではなく、継続できる方法で保湿を続けることが大切です。
妊娠中のレチノールには注意
ここは重要なポイントです。
妊娠線の治療成分としてレチノールやレチノイドが取り上げられることがありますが、妊娠中は自己判断で使用しないことが重要です。
妊娠中に使用できるスキンケア製品かどうか分からない場合は、医師や薬剤師に確認しましょう。
すでに妊娠線ができてしまったら?
妊娠線は、できた直後には赤紫色や赤色に見えることがありますが、時間の経過とともに徐々に白っぽく目立ちにくくなることがあります。
保湿や一部の外用療法によって見た目の改善が期待される場合もありますが、すでに生じた妊娠線を完全に消すことは難しいとされています。
より積極的な治療を希望する場合には、出産後に皮膚科や美容皮膚科でレーザー治療などが検討されることもあります。
ただし、治療効果や適応は方法によって異なるため、専門医への相談が必要です。
妊娠線は「ケア不足」のせいではありません
妊娠線ができると、
「もっと早くクリームを塗ればよかった」
「私のケアが足りなかったのかな」
と思ってしまう方もいます。
でも、妊娠線は体質や皮膚の性質、妊娠によるお腹の大きさや体重変化など、さまざまな要因が重なって生じるものです。
妊娠線ができたからといって、ケアが足りなかったということではありません。
大切なのは、妊娠線だけにとらわれず、妊娠中の身体全体を健康に保つこと。
保湿、バランスのよい食事、適度な運動を心がけながら、無理なく妊娠期間を過ごしていきましょう。
桜わね助産院 杉山
参考文献
ペリネイタルケア(2025 Vol.44 No.1)



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