妊娠中、日焼け止めって必要?

Pregnancy Care | 桜わね助産院
「妊娠してから、なんだかシミが増えた気がする」
「今まで気にならなかったのに、顔の色素沈着が目立つようになった」
妊娠中、このような肌の変化を感じる方は少なくありません。
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、メラニンが増え、顔に褐色の斑点が現れる「肝斑(かんぱん/melasma)」などの色素沈着が起こりやすくなります。特に紫外線は肝斑を悪化させる要因のひとつです。ACOG(米国産婦人科学会)も、妊娠中にみられる肝斑の悪化を防ぐため、日焼け止めや帽子による紫外線対策を勧めています。
紫外線は「日焼け」だけではありません
紫外線には主にUVAとUVBがあります。
UVBは、肌が赤くなる日焼け(サンバーン)に強く関係する紫外線です。
一方、UVAは皮膚のより深い部分まで届き、長期的な光老化や色素沈着などに関係します。
つまり紫外線対策は、「肌を白く保つため」だけのものではありません。日焼けや色素沈着、光老化などから皮膚を守るためのケアです。
米国皮膚科学会(AAD)は、日常的な紫外線対策として、UVA・UVBの両方をカバーするブロードスペクトラムの日焼け止め、SPF30以上、必要に応じた耐水性のある製品を推奨しています。
SPFとPAって何?
日焼け止めを見ると、「SPF50」「PA++++」などと書かれています。
SPF
SPFは、主にUVBによる日焼けをどの程度防げるかを示す指標です。
数字が大きいほどUVBに対する防御効果が高くなります。
ただし、「SPF50なら50倍の時間、絶対に日焼けしない」という意味ではありません。
汗をかいたり、タオルで拭いたり、衣類とこすれたりすると日焼け止めは落ちていきます。そのため、数値だけに頼るのではなく、十分な量を塗り、必要に応じて塗り直すことが大切です。
AADでは、外出時にはSPF30以上の日焼け止めを使い、屋外ではおおむね2時間ごとの塗り直し、また水泳や発汗後にはより早めの塗り直しを勧めています。
PA
PAは、主にUVAを防ぐ効果の程度を表しています。
日本では、
PA+
PA++
PA+++
PA++++
の4段階で表示され、「+」が多いほどUVA防御効果が高いことを示します。
日常生活なのか、長時間の屋外活動なのかによって、必要な強さを選びましょう。
妊娠中の日焼け止めはどう選ぶ?
妊娠中だからといって、紫外線対策をやめる必要はありません。
むしろ、妊娠中は肝斑や色素沈着が起こりやすいため、帽子や日陰、衣類、日焼け止めなどを組み合わせて紫外線を避けることが大切です。
曇りの日も必要?
「今日は曇っているから大丈夫」と思ってしまいがちですが、曇りの日でも紫外線は届きます。
そのため、特に肝斑や色素沈着が気になる妊娠中は、天気だけで判断せず、日常的に紫外線対策を行うことがおすすめです。ACOGも、曇りの日にも紫外線が届くとして、屋外では日焼け止めや帽子を使用するよう案内しています。
赤ちゃんの日焼け止めはいつから?
赤ちゃんの場合は、大人と少し考え方が異なります。
生後6か月未満では、まず直射日光を避けることが基本です。
ベビーカーの日よけ、帽子、薄手の長袖などを活用し、できるだけ日陰で過ごしましょう。
それでも衣類や日陰で十分に守れない場合には、顔などの小さな範囲に日焼け止めを使用することができます。
生後6か月以降は、衣類で覆われていない部分に日焼け止めを使用できます。赤ちゃんの肌は刺激を受けやすいため、酸化亜鉛や酸化チタンを使用したミネラルタイプなど、低刺激のものが選択肢になります。
日焼け止めだけに頼らないことも大切
紫外線対策というと、どうしても「SPFはいくつがいい?」という話になりがちです。
でも、基本は日焼け止めだけではありません。
帽子・日傘・衣類・日陰+日焼け止め。
この組み合わせが大切です。
特に妊娠中は、体調によって長時間の外出が負担になることもあります。肌のためだけでなく、暑さや疲労を避ける意味でも、無理に直射日光の下に長時間いないことを意識してみてください。
妊娠中の肌は、いつもとは少し違います。
「急にシミが増えた」「肌が敏感になった」と感じても、それには妊娠に伴う身体の変化が関係していることがあります。
毎日の紫外線対策も、妊娠中の身体をいたわるケアのひとつです。
桜わね助産院 杉山
参考文献
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG). Skin Conditions During Pregnancy.
American Academy of Dermatology Association(AAD). Dermatologist-approved pregnancy skin care.
American Academy of Dermatology Association(AAD). Melasma: Self-care. Updated 2023.
American Academy of Pediatrics. Sun Safety: Information for Parents About Sunburn & Sunscreen.
American Academy of Pediatrics. Sunburn: Treatment & Prevention. Updated 2024.



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