日本は、世界でも安全にお産ができる国のひとつ。数字から考える、日本の周産期医療
Childbirth in Japan|桜わね助産院

はじめに
「日本で出産できることは、幸せなこと」
私は助産師として、これまで多くのお産に立ち会ってきました。
赤ちゃんが元気な産声を上げ、お母さんがほっとした表情を浮かべる瞬間。
その光景は、決して当たり前のものではありません。
世界には、今も妊娠や出産によって命を落とす女性が数多くいます。
では、日本のお産は、世界と比較してどれほど安全なのでしょうか。
今回は、世界保健機関(WHO)や経済協力開発機構(OECD)のデータをもとに、日本の周産期医療についてお伝えします。
1.世界では、約2分に1人の女性が妊娠・出産に関連して亡くなっている
WHOなどが2025年4月に公表した報告書によると、2023年には世界で推計約26万人の女性が、妊娠・出産に関連する原因で亡くなりました。
これは、1日に約712人。
およそ2分に1人の女性が命を落としている計算です。
妊娠・出産は、生理的な営みであると同時に、時として生命に関わる医療的な問題が生じることもあります。
適切な医療を必要なときに受けられるかどうか。
それが、お母さんと赤ちゃんの命を守るうえで重要なのです。
2.日本の妊産婦死亡率は、国際的に低い水準にあります
お産の安全性を評価する指標のひとつに「妊産婦死亡率」があります。
これは、出生10万人あたり、妊娠・出産に関連する原因で亡くなった女性の数を示すものです。
OECDが2025年11月に公表した報告書によると、2023年のOECD加盟国の妊産婦死亡率は、平均で出生10万人あたり10.3人でした。
日本は、その平均を下回る低い水準にあります。
ただし、妊産婦死亡率は国によって集計方法が異なる場合があり、死亡数が少ない国では年ごとの変動も大きくなります。
そのため、特定の年の数字だけで「世界一安全」と順位を決めることはできません。
それでも、日本が妊産婦死亡率の低い国のひとつであることは、国際統計から確認できます。
3.日本のお産の安全性を支えているもの
お産の安全性は、ひとつの医療技術だけで実現するものではありません。
妊娠中の健康管理、分娩時の観察、緊急時の医療介入、そして出産後の継続的なケア。
これらがつながることで、お母さんと赤ちゃんの命を守る体制が築かれます。
WHOも、妊娠中から出産後まで、専門的な訓練を受けた医療従事者によるケアが、お母さんと新生児の命を救うために重要であるとしています。
助産師は、正常な妊娠・出産を支えるとともに、異常の兆候を早期に捉え、必要な医療につなぐ役割を担っています。
そして、医師、看護師、助産師などが連携しながら、安全なお産を支えています。
私自身も、分娩介助や帝王切開の介助、胎児心拍モニタリングなどの臨床経験を通じて、ひとつひとつの観察と判断の重要性を実感してきました。
4.お産が安全でも、産後のお母さんが十分に休めているとは限りません
ここからは、私が助産師として大切にしていることをお話しします。
日本の妊産婦死亡率が低いことは、とても重要なことです。
しかし、それだけでお母さんの心と身体が十分に守られているとは言い切れません。
出産を終えた身体は、回復の途中にあります。
その一方で、赤ちゃんのお世話は昼夜を問わず続きます。
授乳、抱っこ、おむつ交換。
睡眠が十分に取れないまま、毎日を過ごしているお母さんもいらっしゃいます。
医療によって命を守ること。
そして、産後のお母さんが安心して休める環境をつくること。
私は、この両方が大切だと考えています。
5.安全なお産の、その先へ
桜わね助産院では、助産師による赤ちゃんの一時お預かりを通じて、お母さんが安心して休息できる時間を提供しています。
「少しだけ眠りたい」
「ひとりでゆっくり過ごしたい」
「自分の身体を休ませたい」
赤ちゃんを預ける理由は、特別なことでなくてもよいと思っています。
お母さん自身の健康と生活も、大切にされるべきものだからです。
日本の周産期医療が守ってきた、お母さんと赤ちゃんの命。
その先にある日々の暮らしも、私たちは大切にしていきたいと考えています。
安全なお産から、安心できる産後へ。
桜わね助産院は、これからもお母さんと赤ちゃんに寄り添ってまいります。
もちろん日本だけでなく、世界中のお母さんと赤ちゃんその家族が全員幸せのなりますように。
桜わね助産院 杉山
Sawane Mom & Baby Care
参考文献
1. World Health Organization et al. (2025). Trends in Maternal Mortality 2000 to 2023.
2. OECD (2025). Health at a Glance 2025: OECD Indicators.
3. 厚生労働省(2025)『令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況』



コメント